カルシフィラキシス研究事業

これらの研究についての連絡先

研究代表者: 慶應義塾大学病院血液浄化・透析センター 林 松彦
TEL:03-5363-3908  FAX:03-5363-3908

厚生労働省難治性疾患克服研究事業としての「カルシフィラキシスの診断・治 療に関わる調査・研究」は2011年度を持って終了いたしましたが、レジスト リー事業をはじめとする研究活動は当センターでの研究として継続いたします。 今後ともご協力をお願い申し上げます。

これまでの業績

Hayashi M, Takamatsu I, Kanno Y, Yoshida T, Abe T, Sato Y, Calciphylaxis Study Group.  A case-control study of calciphylaxis in Japanese end-stage renal disease patients. Nephrology Dialysis and Transplantation 27(4): 1580-1584, 2012

林 松彦、高松一郎、吉田 理、菅野義彦、佐藤裕史、阿部貴之、橋口明典、「Calciphylaxisの診断・治療に関わる調査・研究」班:「全国調査に基づくカルシフィラキシス診断基準の提案」、日本透析医学会誌、45(7)、551-557、2012

Hayashi M, Abe T, Iwai M, Matsui A, Yoshida T, Sato Y, Kanno Y, Warfarin Study Group. Safety of warfarin therapy in chronic hemodialysis patients: a prospective cohort study. Clinical and Experimental Nephrology 2016

2010年

「慢性透析患者におけるワルファリン内服が臨床経過とcalciphylaxis発症におよぼす影響の観察研究」についてのお知らせ

「慢性透析患者におけるワルファリン内服が臨床経過とcalciphylaxis発症におよぼす影響の観察研究」についての説明

この文書はカルシフィラキシスの実態調査を目的とした厚生労働省難治性疾患克服研究事業、「カルシフィラキシス(Calciphylaxis)の診断・治療に関わる調査・研究」の一環としての「慢性透析患者におけるワルファリン内服が臨床経過とcalciphylaxis発症におよぼす影響の観察研究」の説明文書です。内容についてわからないことや聞きたいことがありましたら、遠慮なくお申し出ください。

1.研究の目的

カルシフィラキシスは、主に、慢性の透析患者さんに合併する疾患で、多発性難治性の皮膚潰瘍を主な病変としています。重症の場合には、皮膚潰瘍に細菌感染を繰り返し、全身的な感染症、例えば敗血症などに発展して、生命に関わる場合が少なくありません。この病気の原因については、腎不全と、それにともなうカルシウムやリンの異常が原因に関係していると言われていますが、明らかではありません。また、診断基準が策定されていないために、糖尿病などによる壊疽と混同されている場合も多い可能性が指摘されています。そこで、このような難治性の疾患であるカルシフィラキシスを解明して、治療法の開発につなげるべく、平成21年度の厚生労働省難治性疾患克服研究事業として、「カルシフィラキシス(Calciphylaxis)の診断・治療に関わる調査・研究」が実施され、発症状況の調査を行い、診断基準案を策定しました。その結果、過去10年間で、本邦ではカルシフィラキシススの発症は、年間5例程度であることが判りましたが、この疾患があまり知られていない事も判り、実際はより多い可能性が考えられています。また、その疾患の基本病変として血管の石灰化が見られることも確認されました。さらに、ワルファリン内服がcalciphylaxis発症の危険因子となる可能性が示されました。

一方、近年、透析患者さんにおけるワルファリン投与は必ずしも良い効果ばかりではない可能性も議論されています。これらの結果を受け、透析患者さんにおけるワルファリン使用の実態調査と、その内服患者さんの経過を調査して、ワルファリン内服が透析患者さんの経過に、どのような影響を与えるかを明らかとすることを目的として、この研究が計画されました。

2 研究協力の任意性と撤回の自由

この調査に協力しないという意思表示が、あなたが、あるいはあなたが代理人となる方が受診されていた病院の担当医になされた場合には、あなたの、あるいはあなたが代理人となる方の情報は、この研究に用いられません。協力しなかったことにより不利益を受けることは一切ありません。もし、この研究に不同意の方は、別添えの不同意確認書にご署名いただき、担当医にお渡し下さい。

3 研究方法・研究協力事項

この研究は、日本透析医学会所属施設に通院中の慢性透析患者さんの中で、ワルファリン内服中の患者さん全てを対象とします。また、ワルファリンを内服している患者さんが通院中の施設で、ワルファリンを内服している患者さんの透析導入前後に透析導入となった方も各1名ずつ対象となります。もし、ワルファリンを内服している患者さんがお二人いて、さらに、お二人が連続して透析導入となっている場合は、前後各2名、以下3名以上でも同様に、各患者さんが対象となります。もしも、施設内で、ワルファリン内服患者さん、非内服患者さん、内服患者さんという順序で透析導入となっている場合は、間で透析導入となった方は対象とせずに、各内服患者さんの前2例、後2例を対象とします。

20歳未満の方、不参加の意思表示のあった方は対象から除外されます。また、不参加の意志表示が何らかの原因によりできないと判断される方も対象から除外されます。

具体的にご協力いただく内容は以下の通りとなります。

ワルファリン内服中の患者さんの年齢、性別、透析歴、透析原疾患、血液の固まりやすさを表す指標であるPT-INRという血液検査結果、ワルファリン投与量、ワルファリン投与の対象となった疾患、心血管系障害の既往の有無、抗血小板薬内服の有無

また、ワルファリンを内服中患者さんの前後に、同一施設で透析導入となった患者さんにご協力いただく内容は以下の通りとなります。

年齢、性別、透析歴、透析原疾患、心血管系障害の既往の有無、抗血小板薬内服の有無

1年後に、再び、ワルファリン内服継続あるいは開始の有無、新規の心血管障害発症の有無、その他あらゆる合併症の有無、calciphylaxis発症の有無、抗血小板薬内服継続あるいは開始の有無を調査します。いずれの内容も、ワルファリンを内服している、あるいは内服していない透析患者さんが通常受ける検査の範囲で、新たにこの研究のために行われるものは含まれません。これらのデータは、登録センター(慶應義塾大学医学部血液浄化・透析センター内に開設予定)に登録されます。
そして、登録時、1年後の病状の変化と、様々なデータの関連を調べることにより、ワルファリンが透析患者さんにどのような影響をおよぼすかを明らかにしていきます。

4 研究協力者にもたらされる利益および不利益

協力者の利益は当面ないと考えています。不利益については、データは全て個人情報が削除されることから、個人情報漏洩の危険性もなく、また、新たに採血あるいは検査を行わないことから、危険性は想定されません。社会的利益として、ワルファリン内服の透析患者さんにおよぼす影響が明らかとなれば、新たなワルファリン使用指針を検討することが可能となると考えています。

また、この調査への協力の有無が、日常の診療において何らあなた、またはあなたが代理人となる患者さんの治療に影響するものではありません。この研究結果が論文や学会で発表される場合も、個人を特定できる情報は一切含まれませんので、個人情報が漏洩する危険はありません。

5 個人情報の保護

この調査の結果は、あなた、またはあなたが代理人となる患者さんの治療において、貴重な情報として用いられますが、あなた、またはあなたが代理人となる患者さんの個人情報に関することが公表されることはありません。様々なデータが院外の登録センターに送られますが、この場合も個人が特定可能な情報が全て除かれた状態で送られますので、個人情報が漏洩することはありません。解析後も、種々のデータは独自の患者番号が与えられて登録センターに保存されますが、保存時に、個人が特定可能な情報は全て除かれています。

6 研究計画書等の開示

研究計画書はご希望があれば、いつでもあなたに開示いたします。

7 協力者への結果の開示

全国から収集されたデータを解析後に得られた結果は、全国の透析施設に送付されますので、ご希望があれば、それについて担当医よりご説明いたします。

8 研究成果の公表

解析後、研究成果は学会などに公表され、その内容は全国の透析施設に送付されますが、個人情報は解析前に全て削除されていますので、報告内容にも個人情報は一切含まれません。

9 研究から生じる知的財産権の帰属

本研究により生じる知的財産権は、研究組織に帰属します。

10 研究終了後の試料取扱の方針

研究終了後、登録されたデータは登録センターにおいて、個人情報を削除したデータとして保存されます。

11 費用負担に関する事項

本研究の研究資金は全て厚生労働省科学研究費補助金より支払われます。協力してくれる方に対しての報酬、交通費等は支給の対象とはなりません。

12 問い合わせ先

この研究についての連絡先

慶應義塾大学病院血液浄化・透析センター 林 松彦
TEL:03-5363-3908  FAX:03-5363-3908



PDF 不同意確認書(69KB)
(印刷用)

ワルファリン内服症例についての予備調査ご協力のお願い

当班は、昨年度よりcalciphylaxisについての調査・研究を行っておりますが、昨年は、日本透析医学会会員施設に多大なるご協力を頂き、年度末にはcalciphylaxis診断規準案を御呈示することができました。皆様の御助力に、先ず、篤く御礼申し上げます。その研究の過程で、caliphylaxis発症の危険因子として、ワルファリン(ワーファリン®、ワルファリンカリウム錠®など)内服、低アルブミン血症などが同定されました。そこで、本年度の研究では、本邦透析患者におけるワルファリン内服の実態調査と、calciphylaxis発症、その他の合併症発症について、現状を調査するとともに、前向きの観察研究の実施を計画しております。つきましては皆様におかれましては、大変御多忙のところ誠に恐縮ではありますが、後日ご送付申し上げますアンケート用紙にご記入の上、返信用封筒、またはFaxにてお送りいただきたくお願いする次第でございます。なお、今回のアンケート内容は患者さん個人が特定できる内容は含まないように作成しておりますので、個人情報保護に関しての問題は生じないと判断しております。また得られました情報は、当班における学術調査目的以外には一切使用しないことを申し添えさせていただきます。


平成22年9月14日
「Calciphylaxisの診断・治療に関わる調査・研究」
研究代表者
慶應義塾大学医学部血液浄化・透析センター
林 松彦

細谷 龍男 東京慈恵会医科大学腎臓・高血圧内科
秋葉 隆 東京女子医科大学腎臓病総合医療センター・血液浄化療法科
中元 秀友 埼玉医科大学総合診療内科
梅澤 明弘 国立成育医療センター研究所・幹細胞生物学
重松 隆 和歌山県立医科大学腎臓内科・血液浄化センター
深川 雅史 東海大学医学部内科学系 腎代謝内科
川村 哲也 東京慈恵会医科大学腎臓・高血圧内科
田中 勝 東京女子医科大学東医療センター
橋口 明典 慶應義塾大学医学部病理学
杉野 吉則 慶應義塾大学医学部予防医学センター
佐藤 裕史 慶應義塾大学医学部クリニカルリサーチセンター
菅野 義彦 慶應義塾大学医学部血液浄化・透析センター
吉田 理 慶應義塾大学医学部血液浄化・透析センター


PDF FAXアンケート(66KB)
(印刷用)

2009年

皆様からご報告いただきましたカルシフィラキシー(Calciphylaxis)の症例を検討し、当研究班でカルシフィラキシーの診断基準(案)を作成、全国の透析施設、皮膚科学会認定施設などにお送りさせていただきました。

ご協力ありがとうございました。

以下の臨床症状2項目と皮膚病理所見を満たす場合、または臨床症状3項目を満たす場合calciphylaxisと診断される。

【臨床症状】

  1. 慢性腎臓病で透析中、または糸球体濾過率15 ml/min以下の症例。
  2. 周囲に有痛性紫斑をともなう、2ヶ所以上の皮膚の有痛性難治性潰瘍。
  3. 体幹部、上腕、前腕、大腿、下腿、陰茎に発症する、周囲に有痛性紫斑をともなう皮膚の有痛性難治性潰瘍。

【皮膚病理所見】

皮膚生検は、可能な場合に実施する。臨床症状の2項目を満たす場合、他の疾患との鑑別困難な場合は、特に皮膚生検を行うことを推奨する。
特徴的な皮膚生検所見は下記の通りである。
皮膚の壊死、潰瘍形成とともに、皮下脂肪組織ないし真皮の小〜中動脈における、中膜、内弾性板側を中心とした石灰化、および、浮腫性内膜肥厚による内腔の同心円状狭窄所見を認める。
注:特に潰瘍、紫斑が極めて強い疼痛をともなうことは重要な症状である。

【参考所見】

下記除外診断のために、ガドリニウム造影剤使用歴調査と抗核抗体、クリオグロブリン定量、抗リン脂質抗体の各測定を行う。 Calciphylaxisに特異的な検査所見はない。

【除外診断】

  • 糖尿病性壊疽
  • ヘパリン起因性血小板減少症
    (heparin-induced thrombocyto-penia: HIT)
    にともなう皮膚壊死
  • ワーファリン潰瘍
  • 全身性皮膚硬化症
  • Nephrogenic systemic fibrosis初期病変
  • コレステロール塞栓
  • 蜂窩織炎
  • クリオグロブリン血症
  • ハイドレアによる皮膚潰瘍
  • 抗リン脂質抗体症候群
  • 低温熱傷
  • 壊死性筋膜炎
  • 下肢静脈瘤にともなう潰瘍病変
  • 異所性石灰化にともなう皮膚症状

【Calciphylaxisの疾患概念と診断基準の解説】

Calciphylaxis(カルシフィラキシス、カルシフィラキシー)あるいはcalcific uremic arteriolopathyは、慢性透析患者を中心として生じる多発性皮膚潰瘍を主病巣とする疾患であり、皮膚からの感染により敗血症を併発することが多く、その死亡率は50%を越えると報告されている。その概念は1962年Selyeらにより実験動物での知見から提唱され、カルシウム代謝異常による小血管の石灰化を指していたが、臨床の場では、頭記のような難治性皮膚潰瘍で、小血管石灰化が原因と考えられるものをcalciphylaxisとよんでいる。当初、副甲状腺ホルモンの分泌異常に対する何らかの反応性変化が根底にあるという考えから、カルシウム代謝異常によるanaphylaxis様反応としてcalciphylaxisと名付けられた。

諸外国ではその透析患者における発症率は1-4%と報告されているが、本邦での調査はこれまでに行われておらず、平成21年度厚生労働省難治性疾患克服研究事業として当研究班により初めて全国調査が行われ、これまでに約150例が全国透析施設で経験されていることが明らかとなった。しかし、これらの症例についての情報を収集して検討した結果、約半数は糖尿病性・動脈硬化性壊疽、または異所性石灰化に対する皮膚症状であると判断され、calciphylaxisと診断される症例は極めて少ないことが明らかとなった。一方、全国調査では、疾患についての認知度が極めて低いことも明らかとなり、実際の発症率はより高い可能性が考慮されている。

以上のような現状を踏まえて、当研究班では、疾患の認知度を高め、他疾患との鑑別を容易とすべく、診断基準案を配布し、その臨床の場における有用性を検証していく計画となった。また、診断基準案に加え、参考として、典型的な症例の皮膚所見、皮膚生検所見を例示した。

右下腿屈側 左下腿外側

皮膚肉眼所見

左下腿に黒色痂皮と黄色の壊死組織を中央部に付着する不整形の有痛性潰瘍を認め、硬結を触れる。潰瘍の周囲は紫斑を呈する。また左写真のように潰瘍のない部位にも下腿の一部に網状の有痛性紫斑を認める。
(東京女子医科大学東医療センター
 田中 勝教授提供)

症例6 症例11

皮膚組織所見

いずれも典型的な小~中動脈における、中膜、内弾性板側を中心とした石灰化、および、浮腫性内膜肥厚による内腔の同心円状狭窄所見を認める。 (今回調査により収集された病理組織より。)

  
「カルシフィラキシー(Calciphylaxis)の診断・治療に関わる調査・研究」 における、カルシフィラキシーの診断基準作成のための臨床データおよび 皮膚病理所見に関する後ろ向き調査への参加の協力のお願い

この文書はカルシフィラキシーの診断基準作成を目的とした厚生労働省難治性疾患克服研究事業、「カルシフィラキシー(Calciphylaxis)の診断・治療に関わる調査・研究」における、カルシフィラキシーの診断基準作成のための臨床データおよび皮膚病理所見に関する後ろ向き調査へのご協力についての説明文書です。内容についてわからないことやお聞きになりたいことがありましたら、遠慮なく担当医または、研究研究代表者にご連絡ください。

1.研究の目的

カルシフィラキシーは、主に、慢性の透析患者さんに合併する病気で、皮膚にできる多発性の大変治りにくい潰瘍を主な症状としています。重症の場合には、皮膚潰瘍に細菌感染を繰り返し、全身的な感染症、例えば敗血症などに発展して、生命に関わる場合が少なくありません。この病気の原因については、腎不全と、それにともなうカルシウムやリンの異常が関係していると言われていますが、明らかになっていません。また、どのような場合にカルシフィラキシーと診断してよいかという基準(診断基準と呼ばれます)が決まっていないために、糖尿病などによる壊疽と混同されている場合も多い可能性が指摘されています。カルシフィラキシーは、これまで、非常に稀な病気とされてきましたが、近年、透析患者さんの増加とともにこの病気にかかる患者さんが増えつつあるとされています。しかし、診断基準もなく、現状がどのようになっているかなどの、全国的な調査も行われたことはないなど、その詳細は不明です。そこで、このような難治性の病気であるカルシフィラキシーを解明して、治療法の開発につなげるために、平成21年度の厚生労働省難治性疾患克服研究事業として、今回の研究、「カルシフィラキシー(Calciphylaxis)の診断・治療に関わる調査・研究」が計画され、現状を調査して、さらに、その診断基準を作ることになりました。

具体的には、これまでにカルシフィラキシーにかかられた患者さんの病歴、血液検査などの臨床検査データ、そして、皮膚の潰瘍から組織を採って検査している場合はその標本の画像データを、登録センター(慶應義塾大学医学部血液浄化・透析センター)で詳細に検討することにより、この病気の特徴を明らかとして、他の疾患、例えば糖尿病壊疽などとの鑑別を可能にするような診断基準を策定します。そして、その診断基準によりカルシフィラキシーを適確に診断し、将来の治療法開発へと役立てていくことを目的とした研究です。

2.研究に協力しない場合の任意性

この調査に協力しないという意思表示が、あなたが、あるいはあなたが代理人となる方が受診されていた病院の担当医になされた場合には、あなたの、あるいはあなたが代理人となる方の情報は、この研究に用いられません。協力しなかったことにより不利益を受けることは一切ありません。ただし、平成21年11月30日までにご連絡が無い場合は、既に登録センターに送られた画像データ、血液検査などの臨床検査データ、病歴は、個人は勿論、送られた病院も特定できないようにデータを処理して保存しますから、お申し出があっても、特定の個人のデータを削除することはできません。また、皮膚の組織標本が登録センターに送られて画像データが保存されている場合も、平成21年11月30日までにご連絡が無い場合は、同様に取り扱われますので、その後、お申し出があっても特定の個人のデータを削除することはできません。

3.研究方法・研究協力事項

この研究は、この研究への参加が承認された医療機関において過去に診療を受けたカルシフィラキシーの患者さん全てが、対象となります。しかし、非常に稀な病気であることから、全例でも50例未満と想定しています。

具体的にご協力いただく内容は以下の通りとなります。以前、あなた、またはあなたが代理人となる患者さんから皮膚の組織が採られている場合の標本や、解剖にご協力いただいている場合はその時の組織の標本は(注参照)、検査成績とともに、ある一定期間、各病院で厳重に保管されております。この研究への参加を承認された施設から、皮膚の組織標本、または、その画像データが登録センター(慶應義塾大学医学部血液浄化・透析センター)へ郵送されます。同時に、病歴、血液検査などの臨床検査データ、カルシフィラキシーに対する治療歴が、各病院から登録センターに送られます。これら皮膚の組織標本、種々のデータが登録センターに送られる場合は、個人を特定できる情報は全て省かれた形で送られますが、各病院ではどの患者さんからのデータが送られているか、この時点では調査可能です。平成21年11月30日以降は、登録センターではどの病院から送られた情報であるかを抹消しますので、登録センターでは、個人のデータを特定することは,不可能な状態となります。その後、登録センターにより、組織の所見と臨床情報の関連が詳細に解析されます。これにより、それぞれの皮膚の組織がどのような変化を示し、血液データなどの臨床検査データとはどのように関連したのかを調べることができます。なお、皮膚の組織標本が送られている場合は、画像データとして保存後、再び各病院に返還され以前と同様に厳重に保管されます。

注:皮膚の組織の標本、あるいは解剖で得られた組織は、顕微鏡で詳しく検査するために、既に、加工されて保存されています。このような標本を、病理標本とよびます。この研究では、既にある、この病理標本を用いるのみで、新たに皮膚を一部切り取ったり、保存してある組織を加工し直したりすることは一切行いません。カルシフィラキシーにかかっていらっしゃった時に既に作られているものを、改めて顕微鏡で見て、写真を画像データとして残すだけです。組織自体を、登録センターに保存することもありません。いってみれば、レントゲン写真のコピーを作り保存することと、それほど大きな違いはありません。

4.研究協力者にもたらされる利益および不利益

協力者の利益は当面ないと考えています。不利益については、データは全て個人情報が削除されることから、個人情報漏洩の危険性もなく、また、新たに採血あるいは検査を行わないことから、危険性は想定されません。社会的利益として、本疾患の診断基準が作成されることにより正しい診断がなされ、現在治療法も確定していない疾患ですが、新たな治療法の開発を進めていくことが可能となると考えています。

また、この調査への協力の有無が、日常の診療において何らあなた、またはあなたが代理人となる患者さんの治療に影響するものではありません。この研究結果が論文や学会で発表される場合も、個人を特定できる情報は一切含まれませんので、個人情報が漏洩する危険はありません。

5.個人情報の保護

この調査の結果は、あなた、またはあなたが代理人となる患者さんと同じカルシフィラキシーの治療において、貴重な情報として用いられますが、あなた、またはあなたが代理人となる患者さんの個人情報に関することが公表されることはありません。皮膚の組織標本と種々のデータが院外の登録センターに送られますが、この場合も個人が特定可能な情報が全て除かれた状態で送られますので、個人情報が漏洩することはありません。解析後は、皮膚の組織標本の画像データを含む種々のデータは独自の患者番号が与えられて登録センターに保存されますが、保存時に、個人が特定可能な情報は全て除かれています。

6.研究計画書等の開示

研究計画書はご希望があれば、いつでもあなたに開示いたします。

7.協力者への結果の開示

全国から収集されたデータを解析後に作成される診断基準は、全国の透析施設に送付されますので、ご希望があれば、それについて担当医よりご説明いたします。しかし、個々の患者さんの病理標本や臨床検査データの解析結果については、登録センターでは、平成21年11月30日をもって、個人を特定できる情報が全て削除され、その後解析が行われますので、個々人についての解析結果を開示することは不可能です。

8.研究成果の公表

解析後、研究成果は学会などに公表され、診断基準は全国の透析施設に送付されますが、個人情報は解析前に全て削除されていますので、報告内容にも個人情報は一切含まれません。

9.研究から生じる知的財産権の帰属

本研究により生じる知的財産権は、研究組織に帰属します。

10.研究終了後の試料取扱の方針

研究終了後、登録されたデータは登録センターにおいて、全ての個人情報を削除したデータとして保存されます。

11.費用負担に関する事項

本研究の研究資金は全て厚生労働省科学研究費補助金より支払われます。協力してくれる方に対しての報酬等は支給されません。